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遺言書で避けるべき内容は?

 遺言書は家族に対する最後のラブレター。
 こんな言葉を聞いたことないですか?まさにその通りで,遺言書には法律的な効力だけでなく,家族をバラバラにさせない・争わせないという力もあります。
 そのため,最近は遺言書を書く方が少しずつ増えています。
 しかし,せっかく遺言書を記載したのにかえって争いになる場合もあります。
 そこで今回は,「こんな遺言書は書いてはダメ」というものを説明します。

1 相続分を指定する遺言

(1)ダメな遺言

 「わたしの遺産のうち,妻に2分の1,長男に4分の1,二男に4分の1をそれぞれ相続させる」

(2)いい遺言

 「わたしの遺産のうち,自宅不動産と〇〇銀行○○支店普通預金口座(口座番号:・・・・)の預金債権を妻に,××銀行××支店普通預金(口座番号:・・・・)の預金債権を長男に,△△銀行△△支店普通預金(口座番号:・・・・)の預金債権を二男に相続させる」

(3)解説

 お父さんの財産が,自宅不動産(2000万円),預金6000万円であった場合,遺産総額は8000万円なので,遺言書に従うと,妻4000万円,長男2000万円,二男2000万円となります。しかし,誰が自宅不動産を取得するかは決められていないので,妻・長男・二男で話し合わなければなりません。もし,妻と長男が自宅不動産を欲しがっていたら争いになるかもしれません。そうなると,遺産分割調停や審判手続きが必要となる場合があります。
 したがって,できるだけ具体的に財産全てについて,遺言書で特定して相続や遺贈する旨の遺言書を作成すべきです。いい遺言の方が,具体的に取得する遺産が定められているので争いになる可能性は低くなります。

2 一部の財産のみを対象とする遺言

(1)ダメな遺言

 「わたしの遺産のうち、自宅不動産は妻に相続させる」
  ほかにも財産はあるけどそれはみんなで話し合って分けてもらえばいいや・・・

(2)いい遺言

 第1項と同様。

(3)解説

 一部の遺産のみ遺言書に記載する方がいます。遺言者としては自宅不動産だけは妻に相続してほしいと思っているのでしょう。しかし、これだと残りの遺産について残された方で話し合わなければならず、意見が折り合わないと争いになるかもしれません。
 第1項と同様に具体的に財産全てについて,遺言書で特定しましょう。

3 不動産を相続人の共有とする遺言

(1) ダメな遺言

 「甲不動産につき、長男に3分の2、二男に3分の1ずつ相続させる」

(2) いい遺言

 「甲不動産は長男に相続させる。〇〇銀行○○支店普通預金口座(口座番号:・・・・)の預金債権を二男に相続させる」

(3) 解説

 不動産を共有にした場合,共有持分を持つ者は当該共有不動産を利用する権利を有します。仮に,甲不動産に長男が住んでいたり,甲不動産で事業を営んでいたりした場合,長男は自身の単独所有としたいと思うので,二男と共有物の分割について話し合わなければなりません。その話し合いがスムーズに進まない可能性もあります。
 そのため,共有となる分け方は避けた方がいいです。

4 最後に

 せっかく遺言書を作成したのに争いになっては意味がありません。しっかりとした遺言書を作成し残された方々に負担が生じないようにしましょう。
 遺言書の作成・執行については弁護士に相談することをお勧めします。

執筆者:東京支部長/岡 篤志

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